下ネタという概念が存在しない退屈な世界にこれから日本はなっていくのだろうか?

タイトルとはアニメ視聴するにおいて重要なファクターである。1クールで40超のアニメがスタートする関係上、1話が始まる前から見るもの、見ないものに分別しなければならないからだ。
今期もその作業をしていた私に、とんでもないタイトルのアニメが挑戦状を叩きつけた。

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……。タイトルのインパクトだけでいうと、今季no1と言えるだろう。ただ、視聴するアニメに入れるとなると話は別だ。成人しアニメに割く時間がそこまで無くなってきた私に、この一目で頭の悪そうなアニメだと判断できるものを視聴する余裕なんてなかったのだ。
 
休日。パソコン作業の途中で、休憩がてら某動画共有サイトを覗いてみると、なんと配信していたのだ。【下ネタという概念が存在しない退屈な世界】が。
1クリックで視聴が可能な状況に追い込まれた私の目に映るその頭の悪そうなタイトルは、指をエンターキーに持って行くには十分すぎるほどの吸引力を持っていた。
 
タン。
 
30分後。
面白い。面白いじゃないか。
 
話としてはいわゆるディストピアものである。国民全員にPMという管理システムの装着が義務づけされており、性に関する行動及び言動はそのシステムで逐一管理され、罰則が与えられる未来世界が舞台だ。そんな下ネタという概念が存在しない退屈な世界を変えるべく、主人公含む下ネタテロリスト通称ペロリスト達がエロ布教活動をしながら、社会と戦っていくというのが簡単なあらすじになる。
 
 
 
取っ手のない蓋を開けてみれば、【下ネタという概念が存在しない退屈な世界】は今の日本に真っ向から疑問を投げつけた、社会派アニメだったのである。
このアニメはシミレーションをしているのだ。臭いものに蓋をし続けていても出来上がるのは、歪な現実であるということを。
そして、
アニメといういわば何でも表現できる媒体を使って、我々に現状の日本の教育論にも疑問を投げかけているのだ。


特に顕著だったのは主人公の通う高校の生徒会長のそばで女性下着を顔面マスクにしながら、卑猥な写真をばら撒いてすれ違う雪原の青(これがヒロインという……)に、それが卑猥なものだと会長が一切気づかないというシーン。見た瞬間は笑ってしまったけれど、よくよく考えると恐ろしいシーンである。無知の知という有名な言葉あるが、この言葉の逆を馬鹿馬鹿しいシーンで、上手く表現できている。
 
 
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哲学の本であったりSFの本というのはなかなか初心者にとっては、ハードルが高いものがあると思う。
これらのジャンルは、自分で作った極めて主観的な世界を変える力があるようなジャンルだと思っている。
ただ、その性質上読むのに抵抗があったり、そもそも理解し難くて敬遠傾向に陥ってしまっている人が多いと感じているのは、私がそうだからという極めて主観的な決め付けをしてしまっているのはご愛嬌で。
 
下ネタという概念が存在しない退屈な世界】は、タイトルで逆にハードルを高くしてるが、ライトノベル原作ということもあり、分かりやすい展開、馬鹿馬鹿しさ、その中でも考えさせられる内容が上手くマッチしつつ、しっかり哲学しているし、SFしてるでただ頭を空っぽにして見るようなアニメに仕上がっていない。
難しいことを難しく説明することなんて、少し賢い小学生でも出来るじゃないか。
過度な規制社会がもたらす将来を、下ネタに落としこんで、エンターテイメントとして、分かりやすく視聴者に説明するこのアニメは、子どもたちだけへでなくて大人たちへ本物の教育を施しているように私は思う。
 
もし少しでも興味が出てきたら視聴して見て欲しい。さすれば、あ、馬鹿アニメだと思わずもらしてしまうだろう。